創作童話

16.ぼくは生まれて16ヶ月

ぼく、動き回るから、お母さんたいへんだね。

よーくわかってるんだ。 お母さんを困らせる

ようなことばかりしてしまうよね。

お母さんはきれい好きだから、おうちをいつも

きれいにしてるよね。

でも、ぼくが起きだした途端、たちまち

おうちの中がグチャグチャになっちゃう。

ベタベタのおててで、いろんなものを触るし、

踏んずけるし、こぼすし、割るし・・

その度に、お母さん「あー、もうー」って、

あわててぼくのこととっ捕まえるよね。

「あーあ」って言いながら後片付けしてるのを

見て、「ごめんね」って思ってるんだよ。

わざとお母さんを困らせているわけじゃない

んだ。 「つかめるかな」と思ってつかんだら、

手がすべっちゃたり、「これくらいの力なら

大丈夫」と思って投げたら、割れちゃったりね。

ぼくはね、今いろんなことをいっぱいして

覚えないと、大きくなってから困るんだ。 

ぼくが今やっていることは全部、ちゃんと

生きていくための練習なんだ。

何一つ無駄なことはないんだよ。

きっと、お父さんやお母さんも子どもの頃、

いまのぼくと同じだったと思うよ。

今度、おじいちゃんとおばあちゃんに聞いてみて。 だから、お父さんやお母さんは今、たくさんの

ことを知っているし、いろんなことが

できるんだよね。

ぼくのお友達はね、お母さんがおうちをきれいに

しておきたいからって、何にも触らせてもらえないんだって。 だから、柵の中のおもちゃのことしか知らないんだよ。

「これ、かたいね」って言っても「かたいってなに?」 「あっちへ探検に行こう」って言っても

「あっちってなに?」って聞かれちゃうんだ。

もっともぼく達の会話は、大人には

聞こえないけどね。

ぼくたちは、3歳くらいになれば、やっていいことや悪いことがわかるようになるよ。

だから、それまでの間だけ、散らかすのを

我慢してくれるとありがたいなあ。

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