創作童話

19.自分で片付けさせる

外資系の会社に勤めていた私の友人は、子どもの頃、誤ってコップを

落とした時、父親に「コップが落ちた」と言ったら、

「コップは勝手には落ちん。 君が落したんだ」と、いつも言われて、

後始末をさせられたと言っていました。

たとえわざとではなくても、

君の行動が引き起こした事態なのだ、というわけです。

こんな教育を受けたから、彼女は外資系の会社でもバリバリやって

いけるのだなと、その時私は思いました。

日本は和を重んじる国、集団主義の国です。 そんな日本人の特性を

反映して、日本語は責任の所在をあいまいにする表現が

とても多いのです。

 誰が、何を、どうした、の「誰が」の部分が表現されることが

とても少ない言語です。

そのため、「自分のやったことの責任は自分で取る」という概念が、

日本では育ちにくいのだと思います。

でもこれは、とても大切な社会性の一つ、世界のどこで生きようとも必要な、

最低限のルールの一つだと私は思っています。

日本的な「コップが落ちた」という表現は、落とした本人の責任が

感じられない表現です。 怖いのは、無意識に、落した本人に、

責任を逃れる言い訳をさせていることです。

そして、こういう表現は、お母さんにも、落とした本人に責任がないような

錯覚を起こさせてしまいますね。 だから、ついお母さんが自分で

後片付けをしてしまうのでしょう。

もし、お母さんが、将来子どもに社会的に活躍してもらいたいと願っている

なら、子どもが誤って何かをしてしまった時は、まず子どもの責任で

あることをわからせてあげてください。

わざとじゃなくても、起こってしまった事態に変わりはありません。

自分の不注意が引き起こした事態なのです。

それから、自分で片付けさせます。 ただし、子どもは上手には

片づけられませんよ。 それは、期待する方が無理です。

結局後で、お母さんがもう一度後片付けをすることになります。

でも、今自分で片付けるということを習慣づけておくことが

とても大切なのです。

そのうち、自分できれいに片づけられるようになり、

さらに後始末をしないで済むように、注意深く振舞うようになるでしょう。

「落としちゃったの?」

「こわしちゃったの?」

「こぼしちゃったの?」

そして、ニコニコしながら、こう言うのです。

「じゃあ、自分で片付けてね」

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