創作童話
8.泣く子は育つ
私は、赤ちゃんの機嫌が悪い時や泣き出した時に、必ずしもすぐに抱き上げる必要はないだろうと思っています。
条件反射的に、泣いたら抱いてもらえるという学習をさせてしまうことに
なると思うからです。 赤ちゃんはとても知恵があるのです。
アメリカで、赤ちゃんの横で、お母さんに人形を渡して抱かせるという
実験が行われました。 赤ちゃんはお母さんの関心が別のものに移ったことをすぐに察して泣き出します。
泣くことで、母親の関心を自分に取り戻そうとするのです。
昔から、日本では、「泣く子は育つ」と言われています。
泣くことは、赤ちゃんにとって決して悪いことではありません。
むしろ、動けない赤ちゃんにとっては、とても良い運動なのです。
大きな声で泣くことは肺活量を大きくします。 また、赤ちゃんは全身を
震わせて泣きます。 これは、全身運動になります。
現在では、子どもの声や泣き声に無理解な人が多くなりましたから、ご近所の手前、あまり泣かせられないというような事情もあるかも知れません。
でも、それが、真夜中や早朝でなければ、ある程度泣かせてあげてもいいと
思います。 私は、日本の子ども達の体力が落ちた原因の一つは、赤ちゃんの時にあまり泣かなくなったからではないかと思うくらいです。
気をつけなければならないのは、赤ちゃんが身体の異常で泣く場合です。
毎日、赤ちゃんを観察していると、それもある程度はわかるようになると
思います。 とくに赤ちゃんに異常と思えることがなければ、しばらく
泣かせてから、身体をさすってあげたりして安心感を与えてあげます。
その時は愛コミをしてあげましょう。
「○○ちゃん、どうしたのかなあ?」
「何がかなしいのかなあ?」
「今おうちだよ。 怖いものなんにもないよ」
「ママここにいるよ」
「ねむいのかな? ねんねしていいよ」
「おててニギニギしてあげようか?」
「あんよさすってあげるからね」
「涙いっぱいだね。 ふいてあげようね」
「あれあれ、いっぱい泣くからあせかいちゃったね」
「いっぱい泣いていい運動したねえ」
赤ちゃんの泣き声は、必ずしも心地よいとは言えませんね。
でも、赤ちゃんの泣くという行為を、お母さんもネガティブに
捉えるのではなく、赤ちゃんに必要な運動の時間なのだと
ポジティブに考えましょう。