創作童話
6.ぼくは生まれて6ヶ月
ぼく、ずいぶんしっかりしてきたでしょ?
ミルク以外のものもおいしいと思うようになったしね。 お父さんとお母さんがぼくを大切に扱ってくれるからね。
幸せだとどんどん大きくなれるんだよ。
じつはね、これからの1年半位で、ぼくはビックリする位言葉を覚えるんだよ。
でも、お母さんからあまり話しかけてもらえない子は、言葉を覚えるチャンスが少ないから、たいへんなんだ。
だってそうだよね。 お母さんも若い時に英語を習っていたんでしょ。 お父さんと話しているのを聞いたよ。 英語を覚えようと思ったら、英語をいっぱい聞かないと覚えられないよね。 それとおんなじだね。
ぼくたちも言葉をいっぱい聞かないと、それも何度も何度も聞かないと覚えられないんだ。 だから、なんでもいいから、ぼくにいっぱい話しかけてね。 お母さんのひとり言も聞いていて面白いよ。
「さあ、ごはん作ろうっと」 「洗濯しなきゃ」 「あっ電話だ」 「誰かきたわ。誰だろう?」 「パパ今日は遅いなあ」
それから、お母さんはすごいよね。 ぼくが変な音を出しても、ぼくの気持ちすぐわかってくれるよね。
「ああ。ミルクがほしいのね」
「あのおもちゃで遊びたいの?」
「ウンチしたからオムツ替えてほしいのね」 ってね。
ぼくの思いをそんな風に言葉にして言ってくれると、ぼくも「ああ、そんな風に言えばいいんだ」って覚えられるから助かるんだ。
実はね、ばくはけっこう忙しい思いしているんだよ。 だって、おすわりとかハイハイの練習もあるでしょ。 寝返りを打ったり、物をつかんだり、手を上げたり下ろしたり、なんせいっぱい覚えないといけないからね。