創作童話
5.ぼくは生まれて5ヶ月
ぼくも、ようやく音が出せるようになってきたよ。 なんとか、「ウー」 「ブーブー」 「マンマ」くらいは出るようになったよね。
音を出すのってたいへんなことだね。 唇とか舌をどうすれば、どんな音が出るのかまだかわからない。 音を出すために口から空気を出すのも結構むずかしいんだよね。 そう言えば、お父さん、昔トランペットを吹こうとしたけど、音が出なかったって言ってたよね。
今のぼくは、それと同じようなものかなあ。
それからぼくはね、今周りにあるものが珍しくてしょうがないんだ。 ぼくの手もだいぶ動くようになったでしょ。 物もつかめるように
なったしね。
硬い物や柔らかい物、ツルツルした物やザラザラした物、大きい物や小さい物など、いろいろあるね。 なめてみるとよくわかるから、ぼくは何でも口に持っていくよ。
時々お母さんが、あわてて
「これはダメよ」
「あぶない!」
って言ってるのも、なんとなくわかるよ。
でもね、何があぶないのか、どれがあぶないのかはわからないんだ。 だから、その都度
教えてね。 それも、ぼくの勉強だからね。
ぼくの周りは、初めて見るものばかり。
いっぱいあり過ぎてなかなか覚えられないけど、あきらめないで教えてね。
とりあえず、「ダメ」とか「あぶない!」とか言われた時は、ストップしようと思うけど、その後はどうしていいかわからない。
ぼくから取り上げて、ぼくが触ったらダメなものは、ぼくの手の届かない所に隠しておいてくれるとありがたいなあ。
お父さんはうっかり屋さんだから、特に注意してもらわなきゃね。 毎日使うものもいっぱいあるから、むずかしいと思うけど・・・