創作童話
4.ぼくは生まれて4ヶ月
ぼくは、よく泣くけどごめんね。
ぼくの泣き声は、みんなが好きな音楽みたいに素敵じゃないから、周りの人が不愉快に思うこともあるみたいだね。 だから、外でぼくが泣いたりするとお母さんが、とても気を使っているのがわかるんだ。
ぼくの声が、「ホーホケキョ」って鳴く鳥さんみたいにかわいい声だったらよかったのにね。 でもね、ぼくの泣き声がすごーく心地よかったら、みんなずっとぼくを泣かし続けるでしょ。 そうするとぼく困るんだ。 今のぼくには、やってほしいことを伝えるのに、泣くしか方法がないんだもの
「お腹すいたからミルクちょうだい」
「ウンチしたからオムツ替えて」
「暑すぎるから、洋服一枚脱がして」
「毛布がチクチクするからいやだ」
「耳のそばで、ブーンブーンって音がしてうるさくて眠れないよ」
「なんか変な匂いがするよ」
「足がかゆいからかいてー」
「お母さん抱っこしてほしいよ」
「お母さんの声が聞きたいよ」
「知らない顔が、目の前に突然現れたから、ビックリしたなーもう」
「運動不足だから、ちょっと泣かせてね」
「なんだか、気分が悪いんだけど・・・」
「身体が熱くてたまらない・・・」
「お母さんそばに来て。 不安なんだ」
「なんか変! ぼくを病院に連れていって」
我ながらもどかしいなあ。 これでも、泣き方を変えているつもりなんだけどね。
でもね、お母さんは毎日しっかりぼくを見てるよね。 だから、ぼくの言いたいことは、ほとんどわかってくれているから安心して。