創作童話
はじめに
ぼくは生まれてきたよ。
お父さんとお母さんをえらんでね。
ずっと待っていたんだ。 お父さんとお母さんが仲良くして、ぼくがこの世に生まれてこられるように、ぼくの身体を創ってくれるのを。
お母さんのおなかの中は、とっても気持ちよかったよ。 お母さんはいつもぼくを
守ろうとしてくれたね。
ぼくは知ってるよ。
お母さんが、とても気分が悪くなって、何度もトイレに駆け込んでもどしたこと。
だんだん身体が重くなって、動くのが
たいへんだったこと。
おなかの中のぼくのために、クラシック音楽を流してくれていたこと。 いつもおなかの中のぼくに、明るい声で話しかけてくれたこと。
ぼくがお母さんのおなかをけったら、お父さんと二人で大喜びしていたね。 ククッ(笑)
ぼくが、あんまり早く外へ出たがるもんだから、お父さんが大慌てで病院に連れていって
くれたよね。
でも、お母さんが一番たいへんだったのは、やっぱりぼくを生む時だったよね。
お母さんが苦しんでいるのが、ぼくにもわかったから、とってもつらかった。 ぼくが、お母さんのおなかの中にずっといれば、お母さんは苦しまずにすむのかなぁとも思ったんだ。
でも、お父さんもお母さんも、ぼくがこの世に出てくるのを心待ちにしてくれていたでしょ。 それもわかっていたから、ぼくも一生懸命
出てこようとがんばったんだ。
ぼくは、これから、いろんなことをいっぱい学んで大きくなるよ。 ぼくには、お父さんとお母さんの助けが必要なんだ。 ぼくがお話できるようになるまで、お願いがあるんだけど、 聞いてくれる?