創作童話
36.お母さんへのご褒美
こうしていろいろ書いてきましたが、子育てには残念ながら
万人にあてはまるマニュアルやデータはありません。
他人の経験則が必ず役立つわけでもありません。
上の子でうまくいったやり方が、下の子でもうまくいくとは限りませんし、昨日うまくいったやり方が、今日もうまくいくとも限りません。
失敗したと思っても、過ぎてしまった時間や出来事は取り戻せません。
出産の痛みに耐えて産み落とした我が子を、睡眠不足に陥りながら、
昼となく夜となく世話をしても、お母さんはやって当たり前。
子育てについては、けなされることはあっても、
ほめられることはまずありません。
育児や家事に理解ある夫だといいですが、そうでない場合は、
子どもの出来が悪いと、夫にまで責められ、お母さん一人の責任の
ように言われたりもします。
一人の人間を育てるという壮大で責任の重い仕事
なのに、まったく割に合いませんね。
でもね、よーく考えてみてください。
ほとんどの人は死ぬ時、「お母さん」と言って死にますよ。
長い人生で、どれだけ多くの人とかかわりを持っても、
人生を終えるその瞬間に思い描くのが、お母さんなのです。
すごいことだと思いませんか?
特に手のかかった男の子の場合は、母親の存在は絶対的なものです。
そして、いくつになっても、苦しい時、辛い時、悲しい時、
口をついて出てくるのは「お母さん」という言葉ではないでしょうか?
子どもが3,4歳までどうか一生懸命子どもと関わってください。
愛タッチ(子どもとのスキンシップ)と愛コミ(子どもへの語りかけ)
をいつも子どもに与えてあげてください。
そうすれば、お母さんが、自分に惜しみなく与えてくれた愛情や、
自分がお母さんに苦労をかけたという思いが、子どもの頭に
しっかりインプットされます。
お母さんの無償の愛は、愛する我が子の心豊かな人生として
必ず報われます。
そして、何歳で人生を終えようとも、人生の終わりの瞬間に
我が子が自分を想い感謝する・・・
それが、母親に与えられる、目には見えないけれど大きなご褒美
だと私は思います。