創作童話
13.ぼくは生まれて13ヶ月
ぼく、きのう「ボール」ってはっきり言ったよね。 「ボールで遊びたい!」って思ったら、口から
ボールって音がでたの。
お母さん、大喜びしていたね。 夜遅く帰ってきたお父さんにも、報告していたでしょ。
今度、お父さんにも聞かせてあげるよ。
頭で考えたことが、言葉で言えるって
ほんと楽しいね。
早くもっといっぱい話せるようになりたいな。
お母さん、ぼくに言葉をいっぱい聞かせてね。最近は、おかあさんが話す長い言葉もわかるようになってきたんだよ。
「お散歩いくから、しっかり戸締りしよう」
「スーパーに行って、ニンジンとキュウリ
買わなくちゃ」
「今日は、パパが遅いから、お婆ちゃんちに
行って晩ごはん食べよう」
すごいでしょ、ぼく。
それからね、ぼくはお外も好きだよ。
外で、お母さんがいろんな人に会うでしょ。
「おはようございます」
「こんにちは。 暑いですね」
「あーら、ひさしぶりー」
「遅れちゃってごめんなさい」
「さようなら」
「じゃあ、またね」
「失礼します」
いろんな表現があるんだね。 相手によって
変わるんだね。
そんなことも覚えなきゃいけないんだね。
ぼく、最近知らない人を見ても泣かないでしょ。 お母さんがいつもぼくを外へ連れて行って
くれて、いろいろな人と、楽しそうに
お話しているでしょ。
お父さんとお母さん以外の大人の人も、
怖くないってわかったからなんだよ。
お友達の中にはね、あんまり外へ出ないから、
「人がこわい」って言ってる子もいるよ。
かわいそうだね。